派遣社員であっても産休はもちろん、育児休業を取得することもできます。
また、産休、育休中の無給期間を補てんする出産手当金や育児休業給付金を受け取ることができます。
現に派遣社員として育児休業を取得し、育児休業給付金を受けた私の体験に基づき、産休・育休を取得するための要件や、出産手当金・育児休業給付金を受け取るための要件や実際にもらった額について紹介いたします。
※この記事は平成29年10月1日施行の改正育児・介護休業法の内容に基づいています。
Contents
派遣社員でも産休・育休を取得できる根拠
派遣社員でも育児休業を取得できることを知らない人は意外と多いようです。
たしかに以前は派遣社員や契約社員などの有期契約労働者は育児休業の取得が認められていませんでした。
ですが、平成17年度の育児・介護休業法の改正で、有期雇用であっても条件を満たせば育児休業を取得できるようになりました。
さらに、平成29年の育児・介護休業法の改正でさらに対象者の条件が緩和されています。
有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和
申出時点で、以下の要件を満たせばよいことになりました(2019年現在)
- 過去1年以上継続し雇用されていること
- 子が1歳 6 か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
また、産休(産前・産後休暇)については労働基準法で定められています。
第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
2 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
3 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
産前6週間については社員の請求に基づき、また産後8週間については社員から請求がなくても休ませなければなりません。
このように、産休も育休も法律に基づくものですから、法の定める要件を満たす場合について派遣会社によって対応が異なるということはありません。
(休みに入る前から育休満了後は働く意思がまったくないことを明言している人は難しいでしょうが)
私の場合は、育休が明けたら復職したい旨を示していましたので、会社も何ら問題なく手続きをすすめてくれました。
事前に派遣会社の就業規則を確認すると、ばっちり書いてありましたから、迷いなく相談しました。
ちなみに平成29年10月施行の改正育児・介護休業法では育児休業を子が最長2歳に達するまで取得可能になっています。それまでは1歳6か月が最長でしたよね。
派遣会社の就業規則では、法改正の内容をまだ反映されていなかったので、最長1歳6か月までとなっていました。
わが家は待機児童の多い地区に住んでおり、2歳まで保育園に入れるかも微妙でしたのでこの点は気にしていました。
就業規則を確認したときに、あれ??って思いましたが、実際の手続きにおいては最長2歳までと説明を受けたので安心しました。
育休を取得できる要件
育休を取得するための2つの要件について詳しく説明いたします。
過去1年以上継続し雇用されていること
育児休業申出の直前の1年間について、勤務の実態に即し雇用関係が実質的に継続していることをいいます。契約期間が形式的に連続しているか否かにより判断するものではありません。
たとえば、年末年始や週休日を空けて労働契約が結ばれている場合や、前の契約終了時にすでに次の契約が結ばれている場合は、雇用関係は「実質的に継続している」と判断されます。
なお、派遣社員の場合、同一の派遣元で1年間以上雇用されていれば、1年の間に派遣先の会社が変わっても問題ありません。
子が1歳 6 か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
育児休業の申出があった時点で労働契約の期間満了が確実であるか否かによって判断されます。
たとえば、有期契約の上限が5年と定められてる会社で、子が1歳6か月になるまでの間に契約の上限である5年間の期限を迎えてしまう場合は認められません。
また、1年ごとの契約で更新は4回までと上限が定められている会社で、更新回数の上限に達している状態で契約期間の満了が1歳6か月になるまでの間に迎えてしまう場合は認められないということです。
私の場合、派遣先への派遣期間が終了し、同時に派遣会社との雇用期間も満了しました。しかし産休・育休の申し出をしたことにより、派遣就労の継続はできない「非就労スタッフ」として、育休終了日まで雇用契約を更新してもらいました。
そのため、派遣(元)会社との雇用契約については「子が1歳 6 か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでない」こととなり、派遣社員という身分のまま育休を取得することができました。
育休中の身分はどうなる?
私が働いていた派遣会社では「非就労スタッフ」という雇用形態でした。「雇用条件明示書」という以下の内容を説明された文書を交付されています。
・雇用契約期間:育児休業終了日まで
・給与:当該契約期間は無給
・社会保険:雇用保険・社会保険は資格継続(保険料の納付は免除)
・復職、退職:育休終了日までに新たな派遣先が決定すれば雇用契約は更新。新たな派遣先が決定しない場合は育休終了日をもって退職となる
・育休期間の変更:変更しようとするときの手続きの件
ちなみに、当初の育休期間は1年間の予定でしたが、保育園が決まらず育休を延長することになりました。
ですが、育休終了日までに新たな派遣先が決定しないと退職というのは結構なプレッシャーですよね。。
派遣社員は出産手当金、育児休業給付金も受け取れます
派遣社員でも出産手当金、育児休業給付金を受け取ることができます。
なお、休みに入る際の私の給料は約220,000円でした。
出産手当金の概要と実際にもらった額
産前産後期間中の出産手当金は加入する健康保険組合から支給されます。出産予定日以前42日と産後56日のうち無給の期間を対象に、賃金の2/3程度が支給されます。有給休暇で休んでいる日は「無給」ではないため出産手当金の計算に含められません。
なお、派遣社員の方は基本的に全国健康保険協会(協会けんぽ)へ加入していますから、出産手当金は協会けんぽから支給されるわけです。
出産手当金の計算方法
支給開始日以前12か月間の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3【1日あたり】
⇒1日あたりの額を産休期間(産前42日+産後56日)に乗じる
私の例 220,000÷30日×2/3≒4,889円
⇒4,889円×98日=479,122円
振込時期:出産してからおよそ3か月後に派遣けんぽから振り込まれました。
育児休業給付金の概要と実際にもらった額
一方、育児休業給付金の場合は制度が異なります。雇用保険から支給されます。
そのため、雇用保険に加入していることが前提となります。(大手の派遣会社で雇用保険に未加入という方が考えにくいですが)
また、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上必要です。(賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月を1か月と計算されます)
なお、育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月ない場合であっても、当該期間中に第1子の育児休業や本人の疾病等がある場合は、受給要件が緩和され、受給要件を満たす場合があります。
有期雇用契約の場合、上記要件に加え、育児休業開始時において、同一の事業主の下で1年以上雇用が継続しており、かつ、子が1歳6か月までの間に労働契約が更新されないことが明らかでないことが必要です。これは育休取得の要件と同じですね。
※育児休業開始日とは、産後休業から引き続いて育児休業を取得した女性の場合は、出産日から起算して58日目となります。
育児休業給付金の計算方法
(休業開始日賃金日額×支給日数=賃金月額)×67%※
※育休開始6か月経過後は50%
私の例 220,000円×67%=147,400円【1月あたり】
6か月経過後は220,000円×50%=110,000円【1月あたり】
(2か月ごとに2か月分を支払われています)
振込時期:初回の振込は出産からおよそ半年後くらいでした。
さいごに
出産手当金、育児休業給付金のいずれも会社をとおして申請をしています。
手続きに遺漏がないよう、派遣会社の人事担当の人とはこまめに連絡を取り合いましょう。
また、産休・育休取得の要件やもらえるお金の計算方法などは法律に基づいています。
法改正があればその内容も変わってきますので、最新の情報に注意しましょう。また、今後の国の子ども子育て関連施策についても身近な問題としてニュースをチェックすることが大切ですね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました♪