※この記事では、公的な生活再建支援制度を紹介するものですが、お金の申請の前に行うべき行動を確認しておきましょう↓
台風などで水害にあったときにどんな行動をすべきかをというマニュアルが日本財団のWEBサイトで公表されていますのでぜひ活用しましょう。
日本財団 災害時の対応マニュアル
代表的な公的支援制度の主な概要をまとめました。
具体的な手続きや必要な書類についてはお住いの役所にご相談いただくのが一番ですが、あらかじめ制度を理解していると話が早いですから。
なお、なにを申請するにしても罹災証明書が必要となります。
まずは罹災証明書のポイントを押さえておきましょう。
まずは罹災証明書を申請
自然災害で被災した際に用意されている公的支援制度を活用する際、被災した住居の被害を区市町村長が証明する「罹災(りさい)証明書」が必要になることが多いです。「被災証明書」という自治体もあります。
簡単にいうと、自分の家が壊れたってことを公的に証明してもらうものです。
公的な給付金や融資、災害義援金の受給、税金や国民健康保険などの支払い猶予や減免、公的利用サービス料の減免、保険金の支払い請求、応急仮設住宅への入居申請などの被災者支援策適用の判断材料になるわけですね。
罹災証明を受けないと、本来もらえるはずのお金ももらえないということを理解しましょう。
罹災証明書をもらうには?
被災者が区市町村へ申請(火災は消防署)
↓
被害状況の調査(区市町村担当者が訪問)
被害割合 全壊:50%以上、大規模半壊:40~50%未満、半壊:20~40%未満
↓
罹災証明書の交付(区市町村)
↓
各種被災者支援措置の活用
なお、大規模な災害時は区市町村の担当も大変多忙です。
全国から派遣される職員の助けを借りて罹災証明書の発行事務をされている場合も。。
そのため、現地調査にくるまでに時間がかかります。被災当時と現地調査時で状況が変わってしまうかもしれませんよね。
写真を証拠として撮っておくことで、調査時に調査員と被災者とのあいだで認識のズレが生じないよう、証拠を残しておきたいわけです。
(日本財団 「水害にあったときに」より)
被害が出たら片付ける前に写真を撮っておくことがおすすめ
1.住宅の応急修理制度
災害救助法に基づき、日常生活に欠くことのできない部分の応急的な修理です。
これは、修理費用を自治体が修理業者に直接支払う制度です。被災された方にお金が支給されるものではありません。
前提として、「災害救助法」の適用を受けた区市町村が対象です。
実際の運用事例では罹災証明書の添付を省略したり実施期間を延長するなど市町村によって運用が異なりますので、お住まいの区市町村に確認しましょう。
また、これまで災害救助法に基づく応急修理は半壊以上の被害が対象でしたが、一部損壊でも対象となる動きがあります。
2.被災者生活再建支援金
自然災害により居住する住宅が全壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた世帯に支援金を支給し、生活の再建を支援するものです。
対象の自然災害は、暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、津波、噴火などの自然災害によって住宅に被害があった場合です。
対象となる世帯は、①全壊世帯、②半壊(解体世帯)、③長期避難世帯、④大規模半壊世帯。
住宅の被害程度に応じて最大100万円、住宅の再建方法によって最大200万円が支給される制度です。
被災者生活再建支援事業を行う公益財団法人都道府県センターは、自然災害により被災した都道府県民の生活再建支援、都道府県行政の活動支援、その他地方自治の円滑な運営と進展に寄与する事業を行っています。
(公益財団法人都道府県センター 被災者生活再建支援事業)
なお、制度の対象となる自然災害は、法令に定めがあります。10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等です。
被災者生活再建支援法の適用となると、都道府県から国や市町村に適用報告がなされ、都道府県が公示します。
公示されたら罹災証明書の交付を受け、区市町村に支援金の支給申請をしましょう。
支給申請は基礎支援金は災害発生日から13カ月以内に罹災証明書と住民票をもって役所に申請しましょう。
加算支援金は37カ月以内に契約書(住宅の購入、賃借等)が必要となります。
※必要な書類は役所に確認しましょう。
内閣府 被災者生活再建支援法の概要
3.災害弔慰金、災害障害見舞金
災害によって亡くなられた方および行方不明者になった方の家族は災害弔意金を受け取ることができます。
弔慰金額は、生計維持者が死亡した場合:500万円、その他の者が死亡した場合:250万円です。
また、災害によって重度の障害を被った場合には、災害障害見舞金を受け取ることができます。
見舞金額は、生計維持者が重度の障害を受けた場合:250万円、その他の者が重度の障害を受けた場合:125万円です。
災害弔慰金の支給等に関する法律により対象となる自然災害は定められています。いくつか対象となる自然災害の条件が定められています。
- 1市町村において住居が5世帯以上滅失した災害
- 都道府県内において住居が5世帯以上滅失した市町村が3以上ある場合の災害
- 都道府県内において災害救助法が適用された市町村が1以上ある場合の災害
- 災害救助法が適用された市町村をその区域内に含む都道府県が2以上ある場合の災害
大きな災害が起きると被災した市町村が災害救助法の適用を求めるような動きが報道されますが、被災者の公的支援に関わる問題だからなんですね。
4.災害援護資金
これは資金の貸付け。要するに借金です。
対象者は、2.の災害により負傷または住居、家財の損害を受けた人です。
貸付限度額は350万円。
貸付金額は負傷や住居の損壊状況によって異なります。
また、受給者の所得制限もあります。
いくら借りれるのかを確認する際は、サラリーマンの方であれば「個人住民税特別徴収税額決定通知書」をみれば総所得金額をみて判断できます。
通知書がない場合でも、役所の市民税課などで課税証明書(所得証明書)をもらえば確認できます。
貸付利率は年3%、最初の3年間は据置期間といって返済は必要ありません。
償還期間は10年(据置期間を含む)です。
ですが、350万円を年利3%で7年(据置期間後)で返済していくとだいたい月46,000円くらいでしょうか?なかなか厳しいですよね。
住宅再建の融資については住宅金融支援機構の「災害復興住宅融資」が低利です。
内閣府 災害弔慰金の支給等に関する法律(災害援護資金の概要をご覧ください)
5.災害復興住宅融資
災害で被災された方が被災住宅を復旧するための住宅ローンです。
こちらの住宅ローンはすごく低金利です。
令和元年10月現在の金利では、建設資金・購入資金(新築・中古・中古リフォーム一体型)の基本融資額(2,650万円)は年0.24%、特例加算額(520万円)は年1.14%、補修の場合は年0.24%です。
公的な支援や火災保険などを充てても住宅ローンを組まざるを得ないという方もいらしゃっることでしょう。
全期間固定金利で年0.24%って普通に借りたらあり得ない低金利です。
住宅金融支援機構 災害住宅復興融資
さいごに
このほかに全国から寄せられる義援金などもあります。
義援金は集まった金額を最終的には市町村が設置する「義援金配分割合決定委員会」にて被災者への配分基準を決めて、対象となる人に配分します。
集まった金額によって第1回配分、第2回配分・・・と複数回配分されることもあります。
こちらについては区市町村からの案内を待ちましょう。
また、税金の減免制度などもあります。国税庁のページをご覧ください。
国税庁 災害等にあったとき