この記事では、伊豆諸島の南部に位置する青ヶ島について基本的な情報を紹介します。
最近はTVなどでも取り上げる機会が増えたので、青ヶ島の存在を知った方もいるのではないでしょうか。上陸が難しいこともあり、メディアによって絶景、秘境のイメージがより濃くなりました。
実体験にもとづき、移住はできるのか?という視点に加え、仕事や旅行で島に行く機会がある時に押さえておきたいポイントを紹介します。
Contents
青ヶ島とは?
伊豆諸島の南部に位置し、東京(内地)から南に358kmほどの太平洋に浮かぶ小さな島です。
伊豆諸島のため住所は東京都。青ヶ島村という一つの村です。人口は169人(2018年10月現在)、面積は5.96k㎡、日本で最も人口の少ない自治体です。
島の形は珍しい二重カルデラで構成されています。島ではありますが砂浜などはありません。島の周囲は港を除いて断崖絶壁です。集落は外輪山北側の緩やかな傾斜地にあります。
また、珍しいことに住居表示は島内どこでも「東京都青ヶ島村無番地」です。番地がありません。郵便局の方は名前で判断しているとのこと。人口160人ちょっとだから問題ないわけですね。
住所はありませんが、集落がある地区を「岡部地区」、カルデラの内側を「池之沢地区」と呼んでいます。
ちなみに伊豆諸島・小笠原諸島はすべて車のナンバーは「品川」ナンバーなのはよく知られています。
青ヶ島へのアクセス
東京から直通で行ける航路はありません。まず、八丈島へ行き、八丈島から船(伊豆諸島総合開発)、あるいはヘリ(東京アイランドシャトル)を使います。
船(あおがしま丸)を使う方法
船は「あおがしま丸」という客船です。総トン数460t、全長62m、旅客定員50名規模の船です。八丈島から2時間半~3時間ほどかかります。
昔の「還住丸」という船(119t)は毎日就航していましたが、あおがしま丸は週4~5便程度しか就航していないので注意が必要です。必ず時刻表を確認しましょう。
八丈島からの出港は主に底土港(三根)です。東京から八丈島への定期船が就航する港で先客待合所も立派です。八丈島空港からは徒歩では厳しいのでタクシーで向かうことをおすすめします。
料金は、だいたい片道2,500円~2,700円くらいです。燃料油価格沿道調整金を含むため毎月変動します。
就航率は50~60%程度です。あおがしま丸には減揺装置としてフィンスタビライザを採用しているので、還住丸と比べたら就航率が上がりました。
とはいえ、船が大きくなった分、タラップが必要になったこともあり貨客乗降や荷役作業に手間がかかるようになったという島民の声もあります。難しいところですね。
ヘリ(東京愛らんどシャトル)を使う方法
ヘリは八丈島から1日1往復、20分ほどで着きます。
TVなどではわざわざ船で上陸して「絶海の孤島」感を出していますが、普段から島へ行く用事がある人は基本的にヘリを使います。
ヘリで向かう場合は八丈島空港から出発します。料金は2019年3月現在、片道11,530円(大人)です。就航率は80%程度と船に比べて高いですが、ヘリは視界不良に弱いです。
<視界不良の日のヘリポート>
ほぼ真っ白ですね。ヘリポートのサインがまったく見えない日もあります。
梅雨時に青ヶ島へ行った知人が1泊のところ1週間も島に閉じ込められたということもありました。
ヘリは9:20八丈島発です。東京(羽田空港)から八丈島へ朝一番の飛行機(8:30八丈島着)に乗ることができれば、その日のうちに青ヶ島へ上陸することは可能です。
しかし、難しいのはまずヘリの席を確保すること。9席しかない予約を巡り、1ヵ月前の争奪戦をクリアする必要があります。これが上陸が難しいと言われる所以でもあるのでしょう。
ヘリ予約の方法については、「【青ヶ島へ行きたい!】予約困難なヘリを予約する方法【東京愛らんどシャトル】」をご覧ください。
青ヶ島での宿泊
観光や仕事で行く場合は宿泊先の確保が必要です。民宿はありますが、数は多くないので必ず事前に予約していきましょう。
おすすめの宿はこちらです。島では外食できるお店がありませんので、1泊3食付きが基本です。どの宿でも島で採れた野菜や魚料理を楽しむことができます。
(出典元:青ヶ島村 キャンプ・宿泊 http://www.vill.aogashima.tokyo.jp/tourism/stay.html)
あおがしま屋
とてもアットホームな雰囲気で親戚の家に泊まりに来た感覚になります。
本棚に漫画のストックが多いのでヘリや船が欠航して閉じ込められたときに重宝します。
- 宿泊料金 9,000円~
- 定員 15名
- 部屋数 洋室4部屋・和室1部屋
ビジネス宿 中里
島の焼酎である青酎も製造しており、夕食時に出してもらうこともできます。島の宿としては大きく、仕事で出張される方などがよく利用されているようです。
- 宿泊料金 9,000円~
- 定員 30名
- 部屋数 洋室1部屋・和室9部屋
青ヶ島での買い物
島での買い物は「十一屋酒店」のみ!
商店は一つ「十一屋酒店(じゅういちやさけてん)」というお店の一択です。
日用品から食料品まで揃うよろず屋的存在です。値段は輸送費を考慮してか安くはありません。また、品揃えは船やヘリの就航状況に左右されます。
お土産も購入できるので、島に来た観光客で立ち寄らない人はいないでしょう。
同店ではレンタカーやガソリンスタンドも経営しています。
離島暮らしには絶対おすすめ!送料無料のアマゾンプライム
島内で手に入らない物については、通販で購入することが一般的です。通販の利用頻度が高い方にとっては送料が無料になるamazonプライムは必須ですね。
1ヵ月あたり500円のコストがかかりますが、通販をよく使う離島にお住いの多くの方にとって重宝されています。
プライム会員ならプライムビデオで映画やドラマも楽しめます。特に青ヶ島のような離島では、天気の悪い休日は何をするか悩むほどやることがありません。
そんな時にプライムビデオが威力を発揮します。1ヵ月無料体験ができることから、やっぱり使いづらいな~と思ったら解約できます。まだ登録していない方は島暮らしをきっかけにamazonプライムを使い倒しましょう。
青ヶ島の飲食店
レストランや定食屋さんなどはありません。
夜に営業する居酒屋が2店(もんじ、杉の沢)だけあります。深夜まで営業しており、島の常連さんで賑わっています。
常連さんたちは家族や親せきなどのローカルトークで盛り上がっていますが、観光客にもオープンです。
なお、飲食店がないものの、宿泊した宿で昼食をお弁当に代えてもらうこともできます。
青ヶ島の求人状況
公式な求人情報をいえば、村役場の職員採用情報程度です。その他の仕事は地元の人づてに教えてもらうほかありません。
青酎づくりなどに本気で取り組んでみたい方は、直接作り手さんに話をしてみましょう。もしかしたら有益な情報を得られるかもしれません。
青ヶ島での住宅状況
賃貸住宅などはありません。公営住宅はありますが、空きが少なく、島外から転居しようと思っても難しい状況です。まずは村役場に空き状況を確認しましょう。
集落を歩いていると2階建てのアパートのような住宅もありますが、教職員住宅や村の職員住宅などです。
青ヶ島での医療・福祉環境
島には診療所があり、医師と看護師が常勤しています。歯科は月2回(計8日間)診療しています。
診療所が入っている建物は「おじゃれセンター」といって、1階が診療所、2階が保健福祉センター(機能訓練室、介護浴室、調理室等)、3階が保育所(15名規模、2歳半~入園可)となっています。
青ヶ島の教育環境
村立の小中学校が1校あります。高校はありません。
児童・生徒数は少ないです。小中あわせて10数名ほどです。教員は東京都内の教員が配置されます。その際に家族を連れて赴任した場合、子どもは青ヶ島小中学校に通学します。現在の児童・生徒の多くも教員の子どもが多い実態です。
青ヶ島の観光スポット
池之沢地区には、ひんぎゃの熱(地熱)を利用した「ふれあいサウナ」や「地熱釜(調理可能)」。
岡部地区には島で最も高い展望台(標高423m)である「大凸部(おおとんぶ)」や「尾山展望公園」、草原が広がる「ジョウマン」などが有名ですね。
こちらの記事も写真付きで参考になります→「青ヶ島のおすすめ観光スポット13選」
東京で青ヶ島の食文化に触れる ~新宿 青ヶ島屋~
新宿西口に島料理と青酎(全種類)を飲める店があります。その名も「青ヶ島屋」です。
このお店は青ヶ島村長の息子さん(青ヶ島出身)が経営しているお店です。そのため、店主から青ヶ島の生の情報をたくさん聞くことができます。
情報収集のためにも、青ヶ島に行く前に是非行っておきたいお店です。
※店主はとても話しやすい方ですが、金曜日の夜は大変混み合っています。情報収集目的ならば事前に予約し、その際に「島の話も聞きたい」とお話すれば喜ばれるでしょう♪
さいごに
以上、青ヶ島の基本情報でした。
最近はメディアでも取り上げられることも増え、観光客も増えてきたそうです。なかには、立入禁止の場所に入って写真を撮っている人などもいて島民が困っているという話も耳にします。
島には島の生活があります。人口も少なく観光業もない島です。観光目的で行かれる方はその点を踏まえて島を楽しみましょう。
島への引越し、島暮らしのメリット・デメリットなどについては、「【移住・転勤】八丈島(東京)の基本情報【島暮らしのメリット・デメリット】」にて解説しており、離島特有の事情など共通する内容も多いです。あわせてお読みいただけると幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。